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摂食障害とは

Eating Disorders

摂食障害とは. 食事量や食べ方などの食行動の異常が続き、体重や体型の捉え方など、こころとからだ両方に影響が及ぶ病気をまとめて摂食障害と呼びます。

 

体重を気にして食事をたまに減らしたり抜いたり、あるいはストレス解消のためについ食べすぎてしまう、これらは全く珍しいことではありません。しかし、それが過剰になって、まったく食べられなくなる、逆にむちゃ食いをしてしまうということが続いているなら、それは摂食障害かもしれません*1。

国内の摂食障害の患者さんは年々増えています。ソーシャルメディアの発達と共に摂食障害を患う年齢層の少子化も見られます。特に2019年から2021年のコロナ禍で、推定患者数は1.6倍までに増えました*2。2024年2月のバイデン大統領布告によれば、米国では10人に1人が罹患する可能性があるとも言われています*3。

このような摂食障害の回復には、約6割が5年前後、2割が10年以上を要するとされています*4。摂食障害は以下に示す3つの種類が代表的ですが、そのなかでも神経性やせ症の死亡率は6~20%と精神病で一番高く、非常に危険な病気です。実際、米国では毎年10,200人が摂食障害を直接の原因として死亡しています*5。これは52分に1人、つまり米国では1時間以内に1人が、摂食障害によって命を落としていることになります。

さらに、日本では、摂食障害は「わがまま病」や「親のせいの病気」といったように、患者さんが自発的に陥っている病気であるかのように見なされたり、家族が要因であるかのような偏見が存在しています。また、一度罹ると治らない病気であるとも考えられています。これらはいずれも摂食障害が正しく理解されていないことの表れです。実際は、摂食障害患者さんも、そのご家族にも、責任はありません。摂食障害は、風邪と同じように、適切な処置と治療で治せる病気なのです。

これほど残酷な病気であるにもかかわらず、摂食障害についての情報や治療法は出回っておらず、治療者も非常に少ないのが日本の現状です。この病気にかかっても、患者たちは、情報の偏りや少なさ、専門的知識を持つ専門家や、専門性の高い治療を受けられる施設の少なさ、高額な医療費など多くの問題に直面し、回復から遠ざけられているのです。

摂食障害は症状によって細かく分類されますが、代表的なものは「神経性無食欲症(拒食症)」、「神経性過食症(過食症)」と「過食性障害」です*1。

①神経性やせ症(Anorexia Nervosa):

食べること(カロリー摂取)を極端に少なくし、体重や体型についてのイメージにゆがみがみられ、周囲から見るとやせすぎているのに体重が増えることを恐れ、低体重を維持しようとする行動が目立つ病気です。

②神経性過食症(Bulimia Nervosa):

食のコントロールができなくなり、頻繁に過食をしてしまい、その後に後悔し、嘔吐や下剤を使って、体重を増やさないように食べたものを外に排出する、というその2つを繰り返す病気です。体重は正常以上でやせてはいません。

③過食性障害(Binge Eating Disorder):

自分自身では食べ過ぎをコントロールできず、通常より速く食べる、お腹が苦しくなるほど大量に食べる、空腹を感じていなくてもたくさん食べるなど、明らかな食べ過ぎを繰り返し、本人が苦痛を感じる病気です。その後、自己嫌悪に陥ったり、抑うつ気分や強い罪責感を感じたりする、などの特徴があります。食べすぎた後の過度な運動や、嘔吐、下剤使用などの“埋め合わせ行動”を伴わない点で②神経性過食症とは区別されます。

​参考資料:

*1: https://mymc.jp/clinicblog/169863/

*2: https://www.ncchd.go.jp/press/2021/211021.html

*3: https://www.whitehouse.gov/briefing-room/presidential-actions/2024/02/23/proclamation-on-national-eating-disorders-awareness-week-2024/

*4: https://www.nikkei.com/nstyle-article/DGXKZO49052320X20C19A8KNTP00/

*5: https://anad.org/eating-disorder-statistic/

*6: https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/know/know_05.html

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